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建設業界ではいま、 現場の省人化やICT活用だけでなく、 工務・経理・原価管理といった“現場を支える内勤業務”のDXも重要テーマになっています。
今回、 明豊エンタープライズグループの株式会社明豊エンジニアリングは、 建設業向けクラウド「建設バレーナ」を2026年4月から工務部門と経理部門で導入し、 月間約57時間の作業削減を見込むと発表しました。
GLC Job編集部では、 このニュースを単なるシステム導入事例ではなく、 建設会社の働き方・品質管理・キャリア環境がどう変わるのかという視点で読み解きます。
株式会社明豊エンジニアリングの建設業DXニュースをどう読むか
導入内容の核心は工務と経理の分断解消にある
明豊エンジニアリングが2026年4月から導入したのは、 建設業に特化した建設業務統合クラウドシステム「建設バレーナ」です。 対象部門は工務部門と経理部門で、 従来は現場ごとの工事進捗に応じた支払処理、 請求書や各種帳票の作成を紙やExcel中心の手入力で行っていました。 さらに、 工務部門で作成した支払関連データを経理部門へ渡す際に、 内容確認、 突合、 修正依頼といった作業が発生し、 月末・月初に負荷が集中していたと説明されています。
そこで、 同社はOffice Conciergeの支援を受けながら、 担当者の声を開発段階から反映し、 トライ&エラーを重ねて、 自社の業務フローに合う形で本格運用を開始しました。 ここで重要なのは、 単にソフトを入れたのではなく、 「自社フローに合わせて動く仕組み」をつくりにいった点です。 建設業DXは現場に合わなければ定着しませんが、 この事例はまさにその難所を越えにいった導入だといえます。
なぜこのニュースが建設業界で注目に値するのか
建設業DXというと、 ドローン、 BIM、 ICT施工、 遠隔施工といった“現場の派手な技術”が注目されがちです。 しかし実際には、 利益管理、 支払処理、 請求、 出来高や原価の把握が遅れれば、 どれだけ現場力があっても会社全体の生産性は上がりません。
国土交通省も、 建設現場の生産性向上や働き方改革を目的としてi-Construction 2.0を進めており、 2024年4月からは建設業にも時間外労働の上限規制が適用されています。 また建設業就業者はピーク時から減少し、 55歳以上が約4割、 29歳以下が約1割という高齢化も課題です。
つまり、 いまの建設会社には「人を増やさずに、 ミスなく、 早く、 正確に回す仕組み」が必要です。 明豊エンジニアリングの今回の導入は、 その課題に対して現場事務と会計連携の両面から答えを出そうとした事例として、 業界で読む価値があります。
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明豊エンジニアリングとはどんな会社か
グループ再編で生まれた総合建設会社という成り立ち
明豊エンジニアリングは、 明豊エンタープライズグループの建築工事請負部門を分割承継し、 建築設計部門が合流して誕生した総合建設会社です。 2022年12月のグループ再編時リリースでは、 明豊プロパティーズの工事請負事業を新設した明豊エンジニアリングに吸収分割で承継し、 明豊エンタープライズの建築設計部門も統合する方針が示されていました。
狙いは、 建築部門の経営資源を一本化し、 主力商品である「EL FARO」 「MIJAS」シリーズの設計・施工に注力できる体制をつくること、 そしてグループ全体の建設技術の向上と売上規模の拡大につなげることでした。 今回の2026年のDX導入ニュースも、 この延長線上にあります。
つまり明豊エンジニアリングは、 単体の請負会社というより、 明豊グループの開発・設計・施工・賃貸管理の流れの中で、 建設機能を担う存在です。 その会社が工務と経理をつなぐDXに舵を切ったことは、 グループ全体の生産性を底上げする意味を持ちます。
会社規模と事業体制から見える特徴
公式サイトによると、 明豊エンジニアリングの代表者はお阪本伸司氏、 設立は2022年10月26日、 本社は東京都目黒区目黒2-10-11目黒山手プレイス4F、 資本金は6,000万円、 事業内容は建築工事の請負と建築企画設計ほか、 特定建設業許可と一級建築士事務所登録を持ち、 2025年7月期の売上高は40億2,441万円、 従業員数は役員含む31人です。
部門体制としては、 建築企画部、 建築管理部、 工務部、 工事部があり、 建築企画部はボリュームプラン作成や工事金額査定、 建築管理部は着工から竣工までの品質・スケジュール・コスト管理、 工務部は資材発注や予算・工程管理の補助、 工事部は安全・品質・工程・コスト管理を担うとされています。
デベロッパー系グループの建設会社らしく、 設計・施工・原価・品質を一体で見やすい体制を持っている点が特徴です。 だからこそ、 各部門の情報連携を速めるDXの効果が出やすいとも考えられます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社明豊エンジニアリング |
| 代表者 | 代表取締役社長 阪本伸司 |
| 設立 | 2022年10月26日 |
| 本社 | 東京都目黒区目黒2-10-11 目黒山手プレイス4F |
| 事業内容 | 建築工事の請負、建築企画設計ほか |
| 許認可 | 特定建設業許可、一級建築士事務所登録 |
| 売上高 | 40億2441万円(2025年7月期) |
| 従業員数 | 31人(役員含む、2025年7月期) |
| グループ内での役割 | 「EL FARO」 「MIJAS」を中心に企画・設計・施工を担う建設機能 |
なぜ今、建設業DXが必要なのか
紙とExcel中心の運用がもたらす現場周辺のロス
明豊エンジニアリングの導入前フローでは、 工務部門で請求書をもとに支払依頼データを作成し、 それを経理部門側で会計システムへ手入力し、 振込データや仕訳データにつなげる流れでした。 公式資料の業務フロー図を見ると、 導入前は、 紙の請求書処理、 数字の入力、 再修正、 伝票入力、 突合、 送金処理が部門をまたいで発生しており、 特に経理側で再突合や修正待ちが生じる構造だったことが分かります。
一方、 導入後は請求書受領システムから建設バレーナへデータを取り込み、 支払一覧や収支報告書などをボタン一つで出力し、 CSVインポートと会計システム連携を通じて手入力の大半をなくす設計に変わっています。 建設業では“現場の進捗”と“支払い の確定”が密接に結びつくため、 ここが紙と手入力のままだと、 数字の遅れがそのまま経営の遅れになります。 今回の導入は、 現場情報と金銭情報の分断を埋めることで、 会社の意思決定速度を上げるDXだと整理できます。
建設バレーナとは何か
建設業専用の統合クラウドとして持つ機能
「建設バレーナ」は、 工程管理や予算管理をはじめ、 建設会社の業務の多くを一括管理できる建設業専用の業務統合システムです。 公式サイトでは、 現場ごとの採算管理、 帳票の自動作成、 iOS端末による現場での日報入力のほか、 作業員名簿作成、 給与計算、 会計ソフト連携、 顧客情報管理まで可能だと案内されています。
さらに、 建設業に特化した主な機能として、 工事台帳機能、 見積書・請求書作成機能、 入出金管理機能、 収支計算分析機能、 カスタマイズ機能が挙げられています。 工事台帳で書類・図面・顧客情報・業務費を一括管理でき、 見積書をベースに発注書や請求書を自動作成し、 工事ごとの入出金予定と実績、 材料費・外注費・労務費を段階別に把握できる。 この構成を見ると、 単なる“帳票ソフト”ではなく、 工事単位で採算とキャッシュの両方を捉える基幹システムとして位置付けられていることが分かります。
明豊エンジニアリングに合っていた理由
今回の導入が成立した背景には、 建設バレーナ自体の特徴もあります。 発表では、 累計導入社数は500社超で、 北海道から沖縄まで全国の建設会社で導入されており、 建設、 建築、 リフォーム、 内装仕上、 足場架設、 外壁塗装、 解体、 防水、 電気、 水道、 設備、 外構、 型枠大工など多様な業務フローに対応するとされています。 公式サイトでも、 追加料金なしの定額制でカスタマイズし放題、 継続的なバージョンアップ、 迅速なサポートを特徴に掲げ、 クラウド会計ソフトとの連携実績も示しています。
明豊エンジニアリングのように、 グループの開発案件を軸にしながらも工務・経理・品質管理が密接に連動する会社では、 汎用SaaSより“建設業の癖”を吸収できることが重要です。 しかも公式サイトによると、 導入後はチャットと電話による継続サポート、 カスタマイズ対応、 運用コンサルまで受けられ、 最短2日で導入可能とされています。
建設会社にとってシステム選定で本当に怖いのは、 導入より定着です。 その意味で、 明豊エンジニアリングが建設バレーナを選んだのは、 機能の多さだけでなく“現場に合わせて運用できる余白”を重視した結果だと考えられます。
| 明豊エンジニアリング側の課題 | 建設バレーナの主な機能 | 期待できる効果 |
|---|---|---|
| 紙・Excel中心の請求・支払処理 | 工事台帳、帳票自動作成 | 手入力削減、転記ミス抑制 |
| 工務から経理への情報受け渡し負荷 | 会計ソフト連携、CSVインポート | 部門間タイムラグの縮小 |
| 工事単位の予実把握の難しさ | 入出金管理、収支計算分析 | 原価と採算の可視化 |
| 現場業務と内勤業務の分断 | 日報入力、台帳一元化 | 情報共有の高速化 |
| 自社フローへの適合性 | カスタマイズ機能 | 定着しやすい運用設計 |
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導入効果から見える現場の変化
月間約五十七時間削減は何を意味するのか
公式発表によると、 導入前の作業時間は工務部門が約90時間/月、 経理部門が約21時間/月、 合計約111時間/月でした。 導入後は、 工務部門が約44時間/月、 経理部門が約10時間/月、 合計約54時間/月となり、 工務で約46時間、 経理で約11時間、 全体で約57時間の削減を見込んでいます。
数字を見ると、 削減の中心は工務部門です。 これは、 支払依頼書や関連書類の作成、 確認、 再修正といった“月末に集中しやすい手仕事”が、 まとめて軽くなったことを示しています。
一方で経理部門側でも、 突合作業や修正対応の待機が減っているため、 単に前工程を軽くしただけではなく、 部門間のつなぎ目を改善できている点が重要です。
建設会社のDXは、 どこか一部だけを速くしても全体最適になりません。 今回は、 工務と経理の両方が短縮されているからこそ、 業務フロー全体の再設計として意味があります。
| 部門 | 導入前の作業時間 | 導入後の作業時間 | 削減時間 |
|---|---|---|---|
| 工務部門 | 約90時間/月 | 約44時間/月 | 約46時間/月 |
| 経理部門 | 約21時間/月 | 約10時間/月 | 約11時間/月 |
| 合計 | 約111時間/月 | 約54時間/月 | 約57時間/月 |
浮いた時間を品質管理へ回すという発想が重要
担当者コメントも、 今回の導入をどう評価すべきかをよく示しています。 工務部門担当者は、 月末業務に要する時間が約2.5時間から約0.5時間まで短縮されたと述べ、 取引業者数の多い社員ほど効果を感じやすいとしています。 さらに、 削減できた時間を現場の図面確認や施工精度のチェックに充て、 品質管理の向上につなげたいと明言しています。
経理部門担当者も、 最大の変化は部門間の情報タイムラグがなくなったことだとし、 工務部門が入力したデータが会計システムへ連携されるため、 これまで発生していた修正がなくなったと説明しています。 ここに、 今回の建設業DXの価値があります。 もし浮いた時間が“ただの余剰時間”で終わるなら、 現場にとっての実感は弱いでしょう。
しかし、 図面確認、 施工精度、 品質管理、 伝票修正ゼロ化といった形で、 現場の精度に再投資されるなら、 DXは会社の競争力そのものになります。 施工管理職や現場監督にとっても、 雑務に追われる職場から、 品質に集中できる職場へ近づく動きとして注目すべきです。
今後の展望と施工管理職のキャリアへの示唆
明豊エンジニアリングの次の一手は現場近接業務のDX化
明豊エンジニアリングは、 今後について、 建設バレーナに加えて、 竣工検査向けチェックシステムやAI音声認識を活用した議事録の自動生成など、 現場に近い業務のDXにも着手していると公表しています。
また、 今回導入した建設バレーナをより効果的に活用するため、 社員および外部講師による社内研修を定期的に実施し、 現場への浸透と定着を図る方針です。 さらに、 業務効率化で創出された時間を使って、 現場管理体制の強化と品質向上を進め、 管理棟数のさらなる拡大に対応できる組織づくりを進めるとしています。
つまり、 今回のDXは“ひとつのシステムの導入”ではなく、 現場・事務・教育・組織拡張を一体で進める起点です。 国交省がi-Construction 2.0の3年目を「AI活用」「試行から本格運用へ」と位置づけている流れとも重なり、 明豊エンジニアリングも自社なりの実務レベルでその方向に踏み込んでいるといえます。
求職者と現場社員はこの動きをどう見ればよいか
GLC Job編集部として、 このニュースを転職・就職目線で読むときのポイントは明確です。 第一に、 DXに投資している建設会社は、 単に流行を追っているのではなく、 現場と内勤の分断を減らし、 品質管理に時間を振り向けられる体制づくりを進めている可能性が高いこと。 第二に、 システム導入だけでなく社内研修や定着支援までやっている会社は、 社員に「覚えろ」と丸投げするのではなく、 運用まで責任を持とうとしていること。 第三に、 工務・経理・施工管理・建築管理の連携が強い会社ほど、 若手でもプロジェクト全体を理解しやすく、 キャリアの幅が広がりやすいことです。
もちろん、 DX導入=働きやすい会社と単純化はできません。 ただし、 紙・Excel・属人化・部門断絶を放置している会社より、 仕組みで改善しようとしている会社のほうが、 これからの建設業では強い。 この点は、 転職先を選ぶ施工管理経験者にも、 これから建設業界を目指す未経験者にも、 かなり重要な見極めポイントになるはずです。 これはGLC Job編集部の分析ですが、 今回の発表内容から十分に裏付けられる見方です。
GLC Job編集部まとめ
今回の「株式会社明豊エンジニアリング 建設業DX」 ニュースは、 建設業界のDXを現場目線・会社経営目線・キャリア目線の三つから考えるうえで、 非常に示唆の多い事例でした。
明豊エンジニアリングの事例は、 その現実的な進め方を示しています。 GLC Job編集部としては、 今後建設業界で働く人・働きたい人ほど、 企業を見るときに「どんな案件をやっているか」だけでなく、 「どんな仕組みで現場を支えているか」まで見てほしいと考えます。
会社のDXは、 制度や設備の話に見えて、 実はそこで働く人の負担、 成長機会、 品質の出し方を大きく左右するからです。 今回のニュースは、 そのことをよく教えてくれます。
参照元:(株)明豊エンジニアリング /会社概要,プレスリリース PR TIMES
国土交通省/「i-Construction 2.0」 国土交通白書
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