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建設業ニュース

安藤ハザマ×神戸高専が挑むフィジカルAI建機自動化|ヒューマノイドが変える建設現場の未来

建設機械の自動化が、次の段階へ進もうとしています。安藤ハザマと神戸市立工業高等専門学校(神戸高専)は、現実世界の状況を捉えて機械やロボットを動かす「フィジカルAI」を活用し、ヒューマノイドロボットによる建設機械の自動操作を目指す共同研究を開始しました。

第一歩は大型油圧ショベルです。単に建機そのものを自動運転化するのではなく、人型ロボットが建機を扱うという点が今回の大きな特徴です。人手不足、安全確保、生産性向上という建設業界の課題に、この技術はどこまで応えられるのでしょうか。

施工王では、共同研究の内容からフィジカルAIの仕組み、安藤ハザマと神戸高専の強み、商・施工管理や重機オペレーターの仕事に起こり得る変化まで、建設業界で働く人の視点から詳しく解説します。

安藤ハザマと神戸高専がフィジカルAIによる建機自動化へ

大型油圧ショベルの自動操作に向け本格実証がスタート

安藤ハザマが2026年8月4日に発表した内容によると、同社と神戸高専はフィジカルAIを活用した建設機械の自動化に関する共同研究を開始し、同年4月からヒューマノイドロボットによる建機の自動操作に向けた本格的な実証に入っています。最初の対象として選ばれたのが、土工をはじめ多くの現場で活躍する大型油圧ショベルです。

今回の取り組みを理解するうえで重要なのは、「AIを搭載したショベルを開発する」という話だけではないことです。共同研究では、ヒューマノイドロボットによって建設機械を操作するというアプローチが示されています。安藤ハザマの発表資料にはヒューマノイドが大型油圧ショベルを操作する様子が掲載され、将来像としてロボットハンドを用いた操縦イメージも示されています。

両者の役割も明確です。安藤ハザマはこれまで、建設会社の立場から油圧ショベルなどの自動化を進めてきました。一方、神戸高専のシステム情報工学科・田原研究室は、AIロボティクスの立場から、土工作業シミュレーションを利用した建機自動化AIの開発や、ヒューマノイドロボットを使った小型電動ショベルの自動化に取り組んできました。建設現場を知る側と、AI・ロボットを研究する側の知見を組み合わせることが共同研究の核となっています。

今回の発表は研究構想を表明しただけではなく、すでに実機を使った実証フェーズへ進んでいる点にも注目です。まず大型油圧ショベルでフィジカルAIの有効性を確認し、その成果を他の建設機械、さらに一般的な有人作業へ広げるロードマップが示されています。

共同研究のポイント 内容
研究主体 安藤ハザマ、神戸高専
中心技術 フィジカルAI、ヒューマノイドロボット
実証開始 2026年4月
最初の対象 大型油圧ショベル
神戸高専側の蓄積 土工作業シミュレーション、建機自動化AI、小型ショベルのロボット活用
将来の方向性 他建機への拡大、有人作業のロボットへの置き換え

なぜ今回の共同研究が建設業界で注目されるのか

建設業では、すでにICT建機や遠隔施工、自動運転建機などの技術開発が進んでいます。それでもフィジカルAIが注目される理由は、「あらかじめ決めた動作を正確に繰り返す自動化」から、「現場の状態を捉えながら判断し、行動を変える自動化」へ進める可能性があるためです。安藤ハザマ自身も、従来型の自動運転技術と今回のフィジカルAIを使った研究の双方を進めています。

そして、この技術開発を後押ししているのが建設業の担い手問題です。国土交通省によれば、2024年の建設業就業者は55歳以上が36.7%である一方、29歳以下は11.7%にとどまりました。また、建設技能労働者は2020年以降、おおむね5年ごとに7~8%程度ずつ減少すると推計されています。単なる業務効率化ではなく、「今後、少ない人数でどう施工能力を維持するのか」が問われているのです。

その意味で今回の安藤ハザマと神戸高専の研究は、新しいロボットを試すだけのプロジェクトではありません。建設機械を操作するという、人への依存度が高かった領域そのものを再設計する取り組みとして見ることができます。

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安藤ハザマと神戸高専はどのような組織なのか

安藤ハザマは建機自動化を積み重ねてきた総合建設会社

株式会社安藤・間、通称「安藤ハザマ」は、安藤建設と間組が2013年に合併して発足した総合建設会社です。前身の安藤建設は1873年、間組は1889年創業と、双方が長い建設事業の歴史を持っています。現在の本社は東京都港区で、2026年4月1日時点の従業員数は3570人、資本金は約170億円。土木・建築工事の調査、設計、施工、監理から不動産、都市開発、エネルギー関連まで幅広く事業を展開しています。

今回の共同研究を「突然フィジカルAIへ参入した」と捉えると、本質を見誤ります。安藤ハザマは以前から建設機械の自動運転を開発しており、振動ローラ、ブルドーザ、油圧ショベルなど複数種類の建機で自動化に取り組んできました。

特に油圧ショベルについてはコベルコ建機との共同開発を進め、2025年には施工中の現場で自動運転ショベルを長期間安定運用した成果を発表しています。さらに2026年3月には、山岳トンネル工事でブレーカーショベルを使う「あたり取り作業」の自動化技術を実トンネル環境で検証しました。危険な切羽付近で人が確認・操作する必要性を減らすという、安全面に直結する研究です。

ここから見えてくるのは、安藤ハザマが単なる「建機の無人運転」ではなく、施工計画、安全管理、遠隔操作、自動運転を組み合わせながら現場全体の無人化・省人化を模索しているということです。実際、同社は遠隔操作と自動運転を併用し、1つの遠隔コックピットから複数重機を運用する検証も行っています。人と重機が混在するエリアについて独自の運用ルールを設けるなど、実装時の安全まで含めた取り組みを進めてきました。

今回のフィジカルAIは、そうした積み重ねのさらに先にある技術と見ると分かりやすいでしょう。

安藤ハザマの概要 内容
正式社名 株式会社安藤・間
呼称 安藤ハザマ
発足 安藤建設と間組の合併により2013年発足
本社 東京都港区東新橋
従業員数 3570人(2026年4月1日時点)
主な事業 土木、建築、都市開発、不動産、環境、エネルギーなど
建機関連の取り組み 振動ローラ、ブルドーザ、油圧ショベルなどの自動運転

神戸高専・田原研究室はAIとロボットを現実の機械へつなぐ

神戸市立工業高等専門学校は、1963年に神戸市立六甲工業高等専門学校として設置され、その後現在の校名となった、60年以上の歴史を持つ高等専門学校です。2023年からは神戸市公立大学法人による運営に移行しています。

特に注目したいのが、共同研究が始まった2026年度に教育体制を大きく再編していることです。電子工学科を改組した「システム情報工学科」と、機械工学科から分かれた「知能ロボットエ学科」を新設するなど、AI・情報技術とものづくりを融合する教育体制を強化しました。

知能ロボット工学科では、情報工学、ロボット工学、ハードウェア設計などを体系的に学ぶカリキュラムを掲げています。同校は、情報系のAI・制御・プログラミングと機械系の知識を融合し、フィジカルAIの分野で活躍できる人材の育成を明確に打ち出しています。

ここが安藤ハザマとの相性の良さです。ゼネコン側が「現場でどんな動作が必要か」「何が危険なのか」「施工として成立するために何が必要か」を持ち込み、高専側が「AIにどう学習させるか」「ロボットをどう制御するか」を担える。施工会社だけ、AI研究者だけでは埋めにくい領域を補完し合える組み合わせになっています。これは公表内容を踏まえた施工王の分析ですが、まさに産学連携ならではの研究体制といえるでしょう。

フィジカルAIとは何か

生成AIとの大きな違いは「現実世界で行動する」こと

ChatGPTをはじめとする生成AIを想像すると、AIは文章や画像などを扱うものという印象が強いかもしれません。しかしフィジカルAIが扱う対象は、画面の中だけではありません。

政府の人工知能基本計画では、フィジカルAIについて「現実世界でロボット等を動かす」新しいAI技術として位置付けています。また2026年7月に公表された政府資料では、日本が強みを発揮し得る重点分野として、産業ごとに特化したAIと並んでフィジカルAIが挙げられています。

建設機械に当てはめると、考え方は次のようになります。

種類 主な役割 建設分野でのイメージ
生成AI 情報を生成する 文書作成、資料整理、施工計画の補助
AIエージェント 目的に応じ業務を進める 工程調整、情報整理、業務支援
フィジカルAI 現実世界を認識し機械を動かす ロボット・建機の判断、操作、作業

フィジカルAIでは一般的に、カメラや各種センサーなどから周囲の状態を取得し、その情報をAIが処理して次の行動を決め、ロボットや機械へ制御指示を出し、動いた結果を再び取得する、という循環が重要になります。安藤ハザマも今回の発表で、センサーなどから把握した現実世界の状況をもとに物理的なロボットを制御する技術としてフィジカルAIを説明しています。

つまり建設分野におけるフィジカルAIの価値は、「AIが賢い答えを出す」こと自体ではありません。土の状態、周囲の障害物、機械の姿勢、作業の進行といった現実の変化を捉え、その結果を実際の施工動作につなげられることにあります。

なお、今回の共同研究で使用するAIモデルの具体的な構成、センサーの種類、学習アルゴリズムなどは、8月4日の発表資料では詳しく公開されていません。ため、特定の方式を採用していると断定することはできません。

建設機械の自動化にフィジカルAIを使う意味

従来の自動施工技術でも、条件を整えれば非常に高い精度で作業を自動化できます。安藤ハザマの既存技術では、指定された施工エリアを振動ローラが自動転圧したり、決められた条件下で油圧ショベルの操作を再現したりできます。こうした技術が現場の省人化に有効であることは、すでに多くの実証で示されています。

課題は、現場条件が変わったときです。土工を考えてみても、掘削するたびに地形は変わります。積み込む土砂の山も一定ではなく、ダンプの位置や周囲の状況も変化します。さらに実際の現場では、別の作業員や建機との動線調整もあります。あらゆるケースを人間が事前にプログラムする方法では、複雑になるほど対応コストが大きくなります。そこで期待されるのが、AIによって状況認識と行動選択を高度化する考え方です。安藤ハザマは、従来の自動化では難しかった、現場状況に合わせて判断する作業にもフィジカルAIを適用できる可能性があるとしています。

国も同じ方向を向いています。国土交通省は2026年、建設分野におけるフィジカルAIの開発・導入を促進するためのワーキンググループを開催し、省人化だけでなく、安全性向上やインフラ維持管理の高度化まで含めて議論しています。同年3月には建設、AI、ロボティクスなど28団体が参加するピッチイベントも設定されました。

したがって、安藤ハザマと神戸高専の共同研究は一社・一校だけの動きではなく、建設DXの中心テーマが「デジタル化」から「現実の施工そのものをAIで動かす段階」へ広がり始めた流れの中にあると捉えることができます。これは今後の建設業を考えるうえで非常に重要な変化です。

共同研究の内容を技術面から読み解く

なぜ建機そのものではなくヒューマノイドに操作させるのか

今回の研究で特に興味深いのが、ヒューマノイドロボットという「人型の身体」を建機操作に使う点です。

安藤ハザマが公開した資料では、ヒューマノイドロボットによる大型油圧ショベル操作の写真に加え、今後の展望として「ロボットハンドを用いた操縦イメージ」が示されています。つまり少なくとも研究の方向性として、人が使用する建機の操作環境にロボットを介在させる考え方が含まれていることが分かります。ただし、レバー操作や建機側との通信方式など、具体的なインターフェースの詳細は現時点の公表資料だけでは分かりません。

ここには大きな可能性があります。建設現場には、メーカー、機種、年代が異なるさまざまな機械があります。それぞれを完全自動化するには、建機そのものの制御システムを改修する方法もあります。一方、人が扱う既存の操作系をロボットが扱えるようになれば、理論上は「人のために設計された機械や設備」を活用できる場面が広がります。

神戸高専側ではすでにヒューマノイドを活用した小型電動ショベルの自動化に取り組んでおり、今回の公開資料には小型ショベルを遠隔操作する様子も掲載されています。小型機で蓄積した知見を、安藤ハザマが得意とする実際の建設現場や大型建機へ広げていく構図と見ることができます。

シミュレーションとロボット学習が建機自動化の重要な鍵になる

もう一つ注目したいのが「土工作業シミュレーション」です。

神戸高専の田原研究室は、土工作業シミュレーションを活用した建機自動化AIの開発を研究テーマとして掲げています。シミュレーションを使えば、実機だけに頼る場合より多様な条件を設定しながらAIの学習や評価を繰り返せる可能性があります。もっとも、今回の共同研究でシミュレーションから実機へどのように学習結果を移行するのか、その具体的な手法は公表されていません。建機AIの難しさは、単純にバケットを動かせばよいわけではない点にあります。掘削では、車体、ブーム、アーム、バケットなど複数の動きを組み合わせなければなりません。しかも対象はコンピューター上の固定物ではなく、掘るたびに形状が変わる土砂です。

そのため、人間の熟練オペレーターが無意識に行っている「どこにパケットを入れるか」「どの程度の負荷で掘るか」「次にどこへ旋回するか」といった判断を、AIでどのように再現・高度化するかが大きなテーマになります。田原講師の専門分野には機械学習、ロボットラーニングが含まれ、研究業績には模倣学習に関する研究もあります。ただし、今回の安藤ハザマとの共同研究で模倣学習を採用していると発表されているわけではないため、そこは区別しておく必要があります。それでも、AIが人間の操作データやシミュレーションから学習し、実機で検証され、得られたデータを再び学習へ戻すという開発サイクルが成熟すれば、建機自動化の進歩は速くなる可能性があります。

これは建設会社にとっても大きな意味があります。将来的には施工現場そのものが「AIを育てるデータの源泉」になるからです。安藤ハザマが2025年に建設現場のデジタルツイン基盤を開発していることも含め、施工データと自動施工技術をどう接続するかは、今後の競争力を左右するテーマになっていくと施工王では見ています。

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国の建設DX政策から見える今後の展望

大型ショベルから他建機、そして一般作業へ広がる可能性

安藤ハザマと神戸高専が公表している次の目標は明快です。

まずフィジカルAIを利用したヒューマノイドロボットによる大型油圧ショベルの自動操作を実現し、建機自動化にフィジカルAIが有効かを確認します。その後、大型油圧ショベル以外の建設機械へ対象を広げ、さらに一般的な有人作業をヒューマノイドに置き換える方向で建設工事への適用を進めるとしています。この「建機から一般作業へ」という一文は、実は非常に大きな意味を持っています。

油圧ショベルはあくまで第一歩にすぎません。建設現場には、資材運搬、機械操作、点検、清掃、計測、設備の操作など、人が物理的に行っている業務が数多くあります。その一部までヒューマノイドが担えるようになれば、ロボット化の対象は「建機運転」という一職種から「現場作業全般」へ広がる可能性があります。

国の政策も、この方向へ進んでいます。国土交通省のi-Construction2.0は、2040年度までの建設現場のオートメーション化を掲げています。そのイメージには、危険な場所での自動作業、ロボット・建機の遠隔操作、AIによるエ程・安全管理、さらには建設現場の完全無人化まで描かれています。

さらに2026年に示された国土交通省のロードマップでは、短期的には安全ルールや施工管理要領の整備、ダムなどへの自動施工導入拡大を進め、中期的には大規模土工での自動施工、長期的には大規模現場での自動施工・最適施工を目指す方向性が示されています。現場で取得したデータを建機ヘリアルタイムにフィードバックし、施工そのものを最適化する構想も明記されています。安藤ハザマ×神戸高専の取り組みは、その未来像を実機レベルで検証しているプロジェクトの一つとして注目できます。

今後の焦点は、大型油圧ショベルで「動いた」という実証だけではなく、安全性、施工精度、作業時間、連続稼働性、環境変化への対応などをどこまで実用レベルへ引き上げられるかでしょう。ここを超えて初めて、フィジカルAI建機自動化が研究テーマから現場の標準技術へ近づいていきます。

自動施工の時代は「人が不要」ではなく「必要な人材が変わる」

建設業で働く方にとって最も気になるのは、「ロボットが普及したら自分の仕事はなくなるのか」という点ではないでしょうか。

施工王では、少なくとも当面は「人が不要になる」というより、人の役割が変わる可能性の方が大きいと考えています。従来の現場では、1人のオペレーターが1台の建機に乗り込み、自分の目と経験で操作するのが基本でした。しかし将来は、複数台の建機を遠隔から監視したり、自動運転中の異常に対応したり、施工データから機械配置を調整したりする働き方が増えるかもしれません。

施工管理も同様です。施工管理技士が自らAIプログラムを書く必要はないでしょう。しかし、自動施工機械がどの条件なら使用できるのか、どこに無人エリアを設定するのか、作業員とロボットの動線をどう分離するのか、取得したデータを工程や安全管理にどう利用するのか、といった知識の重要性は高まる可能性があります。国土交通省も、施工データを活用して必要な人員や資機材を見直し、現場全体を最適化する「ICT施工StageII」を2026年度から本格運用する方向を示しています。

建設業で今後評価される人材は、「現場しか分からない人」と「デジタルしか分からない人」の二極ではなくなっていくでしょう。現場経験がありながらICT施工も理解できる人。重機を扱えるうえで自動施工の仕組みも分かる人。施工管理経験を持ちながらデータを使って工程を改善できる人。

こうした現場とデジタルの橋渡しができる人材は、フィジカルAIが普及するほど価値が高まると考えられます。これは建設業界で転職やキャリアアップを考える方にとっても見逃せない変化です。

建設業で働く人はフィジカルAI時代をどう捉えるべきか

施工管理・重機オペレーターに求められる能力はどう変わるのか

まず重機オペレーターについて考えてみましょう。

フィジカルAIが進歩したとしても、直ちにすべての重機が完全自律運転へ移行するわけではありません。国土交通省のロードマップも、短期、中期、長期と段階的な導入を想定しており、遠隔施エと自動施工を並行して拡大する方向です。その過程では、「重機を操作できる能力」に加え、「自動運転の挙動を理解する能力」「複数台の機械を監視する能力」「異常時に介入する能力」が重要になると考えられます。むしろ熟練オペレーターだからこそ分かる情報もあります。どの掘り方なら機械に負担が少ないのか、どの土質ならバケットが入りにくいのか、どの動きが危険なのか。AIやロボットを現場で使えるものにするには、こうした暗黙知を理解する人の存在が欠かせません。

施工管理職についても、自動施工によって仕事の中心が少しずつ変わる可能性があります。

従来は「人員を何人配置するか」「オペレーターをどう手配するか」という計画だったところへ、「どの作業を自動化するか」「自動機と人のエリアをどう分けるか」「通信が途切れた場合どうするか」「誰が緊急停止できるようにするか」といった管理項目が加わるでしょう。特に安全管理は重要です。自動施工は、人が建機から離れられるため安全性向上に大きな可能性がある一方、新しいリスクも発生します。ため国土交通省は自動施工の安全ルールや施工管理基準の整備を進めています。

つまり将来の施工管理には、AIエンジニアほど深いプログラミング知識は必要なくても、ICT施工、遠隔施工、自動施工、施工データ、安全ルールなどを理解する力がますます重要になるでしょう。建設業界で長くキャリアを築くのであれば、「自分の仕事がAIに奪われるか」を考えるより、自分の現場経験をAI・ロボット時代にどう接続するかという視点を持つ方が有益です。

若手や転職希望者にとってフィジカルAIはむしろチャンスになり得る

若手やこれから建設業へ入りたい人にとっても、今回のニュースは重要です。

建設業には「体力が必要」「危険な現場が多い」「経験年数が長くないと活躍できない」といったイメージがあります。しかし遠隔化や自動化が進めば、現場へ常時立ち続ける必要のない職種や、デジタル技術を軸に施工へ関わる職種が増える可能性があります。建設業でこれから価値が高まりそうなのは、例えば「土木施工+ICT」「建築施工+BIM」「重機操作+遠隔施工」「現場管理+データ活用」といった複合型の経験です。

すでに施工管理や重機オペレーターとして働いている人は、これまで積み上げた経験を捨てる必要はありません。むしろ実際の施工を知っていることが大きな強みです。その土台にICT施工や自動施工への理解を加えていくことが、新しいキャリアにつながる可能性があります。

企業を見る際も、給与や規模だけではなく、「自動施工へどこまで投資しているか」「技術開発部門と現場が連携しているか」「若手が新技術を経験できるか」といった点が、今後はキャリア形成を左右する材料になっていくでしょう。安藤ハザマのように、従来型の建機自動運転、遠隔施工、デジタルツイン、そしてフィジカルAIまで複数の技術開発を同時に進める企業では、施工管理の仕事そのものも数年単位で変化していく可能性があります。

施工王としては、こうした動きを単なる「未来の技術ニュース」として見るのではなく、自分が5年後、10年後にどのような現場で、どのような役割を担いたいかを考える材料として捉えることをおおすすめします。

まとめ

安藤ハザマと神戸高専が始めたフィジカルAIによる建機自動化の共同研究は、建設機械の未来を考えるうえで非常に興味深い取り組みです。

まだ大型油圧ショベルを使った実証段階です。しかし、その先に描かれているのは「建機が自動で動く現場」だけではありません。AI、ロボット、建設機械、人間が役割を分担しながら施工する、新しい建設現場そのものです。

建設業の人手不足が深刻になる一方、社会から求められるインフラ整備や維持管理がなくなることはありません。だからこそ、これからの建設業に必要なのは「人が足りない分を無理して働いて埋める」発想ではなく、人にしかできない仕事へ人材を集中し、それ以外を機械とAIに任せられる現場へ変えることではないでしょうか。

今回の安藤ハザマと神戸高専の挑戦は、その未来が決して遠い話ではなく、すでに実機を使った検証として始まっていることを示すニュースです。施工管理、土木技術者、重機オペレーター、そしてこれから建設業を目指す方にとって、フィジカルAIは自分たちの働き方とキャリアを考えるうえで、今後ますます目が離せないテーマになりそうです。

参照元:

(株)安藤・間/会社概要,沿革,リリース(2026.08.04),リリース(2026.03.18)

コベルコ建機/プレスリリース(2025.6.12) 神戸市立工業高等専門学校/本科紹介

内閣府/人工知能基本計画

国土交通省/直面する課題,建設分野におけるフィジカルAIの導入,建設分野のフィジカルAI活用を目指したピッチイベント,「i-Construction 2.0」,遠隔施工の取組について,「ICT施工Stage II」

日刊建設工業新聞

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